~矯正治療はいつから始めるのがいい?~
歯列矯正の開始時期により1期治療(小児矯正)と2期治療に分けられます。
〇歯列矯正1期治療(小児矯正)の目的:乳歯から永久歯に生え変わる時期の治療
1.成長発育を利用して顎のバランスを整える 事ができる。
2.成長発育を利用して歯の生えるスペースをキープすることができる。
3.指しゃぶりや口呼吸などの癖を治すことができる。
〇歯列矯正の2期治療の時期と目的は?
1.永久歯のそろった12~13歳以降に行う。
2.内容は成人に行う矯正治療とほぼ同じ。
3.歯や歯周組織が健康であれば年齢を問わず何歳でも治療可能。
~歯列矯正の1期治療を行う利点は?~
1. こどもは適応能力が高いので装置、トレーニングへの治療効果が得やすい。
(口腔習癖の除去により将来起こりうる不正咬合を回避できる可能性がある。)
2.成長期であるため、治療後の歯や歯茎、筋肉が早くなじむ。
3正しいあごの成長を誘導することができる。
(成長発育を利用して歯の生えるスペースを確保することができる。 )
4.大人に比べて低いリスクで歯列や顎を広げることができる。
⇒1期治療の効果は、将来起こりうる歯列不正の予防・軽減につながります。
~矯正治療の開始時期は
診断と治療計画により決まります~
どのように決めていくのでしょうか?
〇患者様の年齢
〇患者様がどういったことになやんでいるか(この主訴が最も大事になります)
〇客観的な資料として基礎データが必要です。
顔面写真 …顔の左右対称性、横顔の輪郭のタイプ、
側貌の垂直比および口唇の形態などの評価をします。
口腔模型 …かみ合わせの状態をいろいろな角度から評価します。
口腔内写真…治療前、治療経過、治療後の変化を比較します。
レントゲン…複数の種類のエックス線検査を行います。
一定の決められた条件のもとで撮影されるので、個々の患者様の頭、あご、歯列の形や位置に関する特徴や成長や治療による変化を評価できます。手の骨の形成状態を見ることによって子供の成長発育の程度を評価できます。
〇歯並びやかみ合わせの問題を引き起こす原因があれば対策を考えます。
原因除去が歯列不正の予防につながることもあります。
〇経過観察期間
・治療開始に最適な時期まで経過観察をする場合があります。
・歯列の安定に智歯の抜歯が不可欠な場合は抜歯するまで経過観察が必要になります。
これらをもとに診断を行い、治療目標を段階的に提示し、治療のゴールを患者様と
相談して治療計画を決めていきます。
~矯正治療に抜歯は絶対必要?~
歯並びが悪くなる原因は、歯が並ぶためのスペースが足りないことです。
ケースによっては歯を抜かないで矯正治療を行える場合もあります。
どんな時?(1期治療は抜歯を回避するために大変重要)
〇 1期治療を行い、正しいあごの成長を誘導することができた時。
⇒将来抜歯となる確率を下げることができる。
〇 特に永久歯の交換期(顎の幅の成長がある時期)に咬合誘導を行った時
⇒将来抜歯となる確率を下げることができる。
精密な検査と診断のもと、治療開始時期をしっかり見極めることが重要
~抜歯をしないで治療する方法を
治療計画に組み込めることがあります~
1.あごの幅を少しずつ広げてできたスペースに歯を移動させる方法
⇒成長期にとても有効(1期治療)
⇒成長期以降は歯の周囲の骨がやせたり歯肉退縮がおこりやすいなどの
リスクがある。
2.奥歯を後方へ移動させてスペースを作る方法
⇒親知らずを抜歯する必要があります。
⇒奥歯から徐々に後方へ移動させていきます。
3.歯をわずかに削ることでスペースを生み出す方法
⇒歯の表面のエナメル質の部分を削りスペースを作る。
(歯の移動はミリ単位で行うため、1本につき、わずかな量を数本に行うと
数ミリの移動スペースを作り出せます。)
⇒削った後はフッ素塗布をして虫歯にならないように適切な処理が必要。
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